自分を好きになれない人は、人を本当に褒められない
― 幸せな人だけが、人を幸せにできるという話 ―
誰かに「すごいね」と褒められたとき、心から嬉しくなるときと、なぜかしっくりこないときがありませんか?
それは、「何を言われたか」ではなく、「誰に言われたか」が大きく影響するからです。
たとえば、いつも明るくて、自分の人生を堂々と歩いているような人から「あなたって素敵だね」と言われたら、心の底から「うれしい!」と感じるはず。
でも、日ごろから「どうせ私なんて…」と卑下しているような人から同じ言葉を言われても、なぜかそれほど心に響かない。
――むしろ「本当にそう思ってる?」「なんか薄っぺらいな」と感じることさえあるかもしれません。
これは感情論ではなく、意外と“理屈”があります。
自分を好きで、満たされている人の言葉には説得力がある。
自分を否定している人の言葉は、どこか弱く、曖昧に聞こえる。
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自分を卑下している人の「すごいね」は響かない
あなたの周りにもいませんか?
「あなたって本当にすごいよ」とは言うけれど、本人は「私なんて全然ダメで…」と、いつも自分を下げている人。
実はこういうタイプの人の褒め言葉って、受け手に自信を与える力が弱いんです。
なぜなら、“自己評価の低い人”に褒められても、こちらも「それって本当?」と感じやすいから。
たとえばこんな経験はないでしょうか?
● 自己肯定感が低い友人に「あなたは素敵」と言われても、逆に気を使ってる気がしてモヤモヤした
● 他人には「頑張ってるね」と声をかけるけど、自分自身には「どうせ私は…」と思ってしまう
● 人を褒めるのが苦手。相手を褒める前に、「私が言うのも変だけど…」と前置きしてしまう
これ、実はぜんぶ「自己肯定感の低さ」が影響しています。
自信がある人・幸せな人の言葉は、なぜ刺さるのか?
一方で、自分の人生を楽しんでいる人、自分をある程度受け入れている人から褒められると、まったく印象が違います。
その理由は、「その人の在り方」が言葉に乗っているから。
人は、信頼している人・尊敬している人・憧れている人の言葉に心を開きます。
会社の中で、明るくて前向きな上司に「君の仕事、良かったよ」と言われたら、素直に「認められた」と感じますよね。
でも、毎日イライラしてるだけの上司から「頑張ったな」と言われても、「本気で思ってる?」「誰にでも言ってるんじゃないの?」と疑ってしまう。
言葉には、発信者の“在り方”がそのまま乗る。
だから、「褒める力」をつけたければ、自分自身の状態を整えることが一番の近道なんです。
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親子関係や友人関係にも同じことが起きている
これは親子の関係でも同じです。
親が自分を認めていない状態で「あなたは素晴らしい子」と言っても、子どもの心には深く届きません。
むしろ子どもは、無意識にこう感じているかもしれません。
「ママは自分のこと嫌いって言ってるのに、そんなママに褒められても…」
「パパはいつも“俺なんてダメだ”って言ってる。そんな人に認められても自信にならない」
反対に、たとえ仕事をしていなくても、目立つ人じゃなくても、日常の中で幸せそうに生きている親が「あなたは素晴らしい子だよ」と言ったら、それは人生の支えになる言葉になります。
友人同士でもそうです。
自分を卑下している友人の励ましは、気持ちはありがたくてもどこか空虚。
でも、自分を認めている友人の一言は、ぐっとくる。勇気が出る。
「謙虚さ」と「自己否定」はまったく違う
日本人は特に、謙遜の文化が根付いています。
自分をアピールしすぎない。他人に敬意を払う。とても美しい価値観です。
でもそれが行きすぎて、**「私なんて」「ダメ人間です」みたいな“自己否定の美学”**になっていないでしょうか。
それは謙虚ではなく、「自己破壊」です。
本当の謙虚とは、自分の価値を認めたうえで、他人を尊重できる姿勢。
自己否定ではなく、自己受容。
「自分のいいところも悪いところも、全部ひっくるめて、私だ」と思える人こそが、人にもやさしくなれるし、人の価値も認められる。
「自分を好きでいること」は、他人へのギフトになる
「人を励ましたい」「人を喜ばせたい」「誰かの力になりたい」
そう思うなら、まずはあなた自身が幸せであることが第一歩です。
無理にポジティブになる必要はありません。
でも、「今の自分、けっこう頑張ってるじゃん」と、毎日少しでも認めてあげる。
たとえば、今日のあなたにできることは:
- 鏡の前で、「ありがとう、今日もお疲れさま」と自分に言う
- 自分の短所ではなく、1つだけでも「良かった行動」に注目する
- 他人と比べず、「自分のペースで生きてる私、悪くない」と思ってみる
人を幸せにできる人は、自分をちゃんと幸せにしている人。
自信のある人だけが、人に本物の自信を与えられる。
あなたの言葉を、もっと強く、もっと温かくするために――
まずは、あなた自身をもっと好きになってください。