前回の心理学編①「“信頼関係”が生まれる瞬間。」では、
人と人の間に築かれる“外的な信頼”=ラポールについてお話ししました。
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🧠“信頼関係”が生まれる瞬間。〜ラポールが教えてくれる人間関係の心理〜
今回はその続きとして、
“なぜ、好きな人の言葉だけが素直に届くのか?”
その心理を、**選択理論心理学(Choice Theory)**の中にある
**「上質世界(Quality World)」**の考え方から見ていきましょう🌿
🌸1. 上質世界とは?
アメリカの精神科医 ウィリアム・グラッサー博士 が提唱した選択理論心理学では、
人は誰もが心の中に「上質世界」と呼ばれる小さな“心のアルバム”を持っているとされます。
そこには、
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自分にとって大切な人
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理想の関係
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大事にしたい価値観
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幸せを感じる瞬間
など、**「自分にとっての理想の世界」**のイメージが詰め込まれています。
つまり、私たちは無意識のうちに
“この人に認められたい”“この関係を大切にしたい”
という上質世界のメンバーを決めているんです。
💬2. “上質世界”に入っている人の言葉は届く
では、この上質世界が信頼とどう関係するのか?
グラッサー博士はこう言いました。
「人は、上質世界に入っている人の言葉しか本当には聞かない。」
つまり──
相手の心のアルバムに“自分”が入っていれば、
その人の言葉はスッと届く。
逆に、上質世界に入っていない相手の言葉は、
どんなに正しくても「響かない」「拒否される」ことがあるんです。
💡これが、職場でよくある
「同じことを言っても、許される人と許されない人がいる」
という現象の心理的な裏づけです。
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なぜ同じことを言っても、許される人と許されない人がいるのか?
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🔬3. 心理学的な裏づけ
上質世界の考え方は、
**選択理論心理学(Choice Theory, 1998年)**で体系化されました。
グラッサー博士は、人間の行動を5つの基本的欲求から説明しました。
| 基本的欲求 | 内容 |
|---|---|
| 生存 | 安全・健康を守る欲求 |
| 愛・所属 | 誰かとつながりたい欲求 |
| 力・承認 | 認められたい・影響を与えたい欲求 |
| 自由 | 自分の意思で決めたい欲求 |
| 楽しみ | 喜び・学びを感じたい欲求 |
そして、これらの欲求を満たす「理想の人物・関係・状況」が
上質世界に保存され、私たちはその“理想の再現”を求めて行動しているのです。

🧠【関連する心理実験:カクテルパーティ効果】
人は雑音の中でも、自分の名前だけはすぐ聞き取れます。
これは、“自分に関係ある情報”を優先的に処理する脳の仕組み。
上質世界も同じで、
「自分にとって大切な人」からの言葉は“特別に届くように設定されている”のです。
🌿4. 上質世界に“入る人”と“入れない人”
上質世界に入るために必要なのは、
相手の欲求や価値観を理解し、尊重すること。
愛され人が大切にしているのは、
「自分をわかってもらう前に、まず相手をわかろうとする姿勢」です。
上質世界に入りたければ、
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相手の話をさえぎらない
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小さな約束を守る
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否定ではなく承認で返す
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「あなたを大切に思っている」という安心感を伝える
このような積み重ねが、相手の心のアルバムに“自分の写真”を貼ってもらう行為なんです🌸
💗5. 愛され人の伝え方
愛され人は、
相手の上質世界に“そっと入る人”。
信頼は、正しさではなく“心の位置”で決まる。
相手の大切な世界を尊重しながら、
やさしい言葉と姿勢で心の距離を縮めていきます。
💬今日の学び
相手の言葉が届かないときは、
「伝え方」より「関係の位置」を見直してみよう。上質世界に入っている人の言葉は、まっすぐ届く。
信頼とは、“心の中の居場所”を作ることです🌿